涙の理由
雨が降っている
しとしとと降るそれは、道路を濡らして
街明かりを反射させている
まるで街を映す鏡のように、
人々の心を映すようにその雨は全てを示していた
貴方はそこに立っていた
雨粒に溶け込むようにシン、と傘もささずに立っていた
「なんであの日泣いてたの?」
「泣いてないよ、立ってただけ」
いつ聞いても貴方はこの答えしか返してくれない
決まり文句のその言葉は泣いていた、と確信するには容易くて
1人抱えるその意味をいつかは知りたいと
今日も私は貴方の隣を歩く
次の雨には話してくれると1粒程の願いを込めて
10/10/2023, 10:09:13 AM