「よろしければ来月入荷の商品をご覧ください」
好きな洋服屋さん、靴の試着をしたくて久しぶりに店頭で買い物をした。その会計中に、お店のお姉さんがカタログを引っ張り出して私に見せてきた。
最近はめっきり通販を利用するようになったけれど、通販だと写真で見たものよりも印象が違ったり、サイズが合わないことが多々おきる。靴の場合はなおさら、失敗したらひとたまりもない。そうなった時の返品交換も正直面倒くさい。
好きなブランドの靴が欲しくて、後々通販で嫌な思いをするかもしれないことを想像して、本当に重い腰をあげて外へ出た。
夏の盛りの頃よりも暑さは和らぎ、カーディガンでもあれば良かったと、後になって季節の変化に気がついた。
店に着いて、お姉さんに欲しい靴を伝えて、在庫からわざわざ出してきてもらった靴は、私好みで、足のサイズはぴったりだった。履き心地もゆったりしていてキツさもない。これにしよう。
会計をお願いしている間、渡されたカタログを何となしに眺める。「これからどんどん秋冬物がでますよ」とお姉さんはどことなく嬉しそうに話している。
コート、ニット、ブーツ、ワンピース。
どれもこれも今見るとなんだか暑そうに見えるけれど、あと1ヶ月もしないうちに、そのぬくもりが恋しくなるのだろう。
お姉さんとしばらくの間、こっちが可愛い、あっちも可愛いと指差してカタログを見せあった。
誰かと雑誌やカタログを共有してはしゃぐなんて、学生ぶりだった。最近は随分と通販に慣らされて、自分が欲しいものしか目に入らないし、誰かと好きなものを共有することもなくなった。衣替えだって面倒くさいからまぁいいかとサボりがちだ。
でも、久しぶりに衣替えをしてみよう。
家に仕舞われてしまった、かつて自分が「可愛い」と思い、キラキラと輝いて見えた宝物が、まだそこにあるはずだから。
お題/衣替え
10/22/2024, 11:51:21 AM