夜宵

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 聞こえてきたのは風鈴の音。チリンチリンと鳴っているのは、風情のある縁側ではなく錆びた鉄のベランダ。質素な部屋で唯一彩りを持っていて、それをくれたのも、私の友人の中で唯一華やかな人だった。

 白い掛け布団を捲り、白い床へ足を着ける。いつものルーティンとは外れベランダの方へ向かうと、その赤色は背景の緑に映えてとても綺麗だった。まるであの人のようだった。



――耳を澄ますと

5/5/2024, 9:56:23 AM