蜜柑

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ぽろぽろと、目の辺りから流れるこれは、なんと言うのだろうか。流れる水をそのままに彼女へ視線を向ければ、彼女は目を見開く。「大丈夫!? 何かあった?」その言葉に、私は素直に答えることにした。「……わからない」そんな言葉の意味がきっと態度としても表れていたのだろう。彼女はゆったりとした調子で言葉を口にした。「……それは、涙、って言うんだよ。悲しい時とか、あとは嬉しい時にも出るの」その言葉を心の中で反芻する。そうして口から出たのは。「……うれしい、のかも」こんな言葉だった。俯かせていた視線を彼女へ向ける。「……」彼女は心底安心したように、そしてどこか嬉しそうに頬を緩めていた。

3/29/2025, 6:09:04 PM