紡いだ夢を焼き払い、結んだ愛を仇とする
誓った絆は呪いのように、二人を繋いで腐らせる
目の前に浮かぶあなたが例え幻でも
傷ついた笑顔で二度と笑わないで
だから私は手を離した
間違っても手繰り寄せないように
震えるこの体にあなたが気付かないように
さようなら
約束など忘れてしまえ
淡く浮かんだ雨上がりの虹も、水を弾く緑も
全て幻なのだと言い聞かせて
糾う禍福を解いて去って、何も知らず幸せにおなり
贈られた紅の愛らしさなど、私もすっかり忘れたから
これから累わす災いを、あなたにだけは与えない
二人の旅路はこれにてお終い
本当に、本当に、さようなら
いつか時を経て、たまに思い出してくれれば良い
蛇のような細道で出会った一人の女がいたことを
気紛れに交わした絵葉書は残さず捨ててしまってね
あなたを縛るものはもう何もない
せっかく解いた縄なのだから
絶対に探さないで、縫い合わせたりしないで
絢爛の大通りを、振り返らずに歩いてお行き
さようなら
最後に織りなした愛の言葉よ
(糸)
6/18/2025, 11:18:24 AM