頭空っぽにして読め

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「よっ。こんなとこでなにしてるんだ」

「…アンタを、そうだ。アンタをさがしていた気がする。」

「へー。そりゃご苦労サン。ほら立てよ早く行こうぜ」

「うん。早く帰ろう。」

隣に立って歩くアンタはいつものスタイルで、パーカーのフードを目深に被っていた。
対するアタシは奇天烈な衣装。大きなキャンディを模したリボンが頭に一つ。それに、服もロリータで小物も含め、何から何までキャンディを模してある。イタイ服ね。けどなんだか嫌いじゃないわ。

「どーした。考えことか?」

「アタシの服。何だか凄いなって思ってね。どう?可愛い?」

「最悪だな!」

「アンタなら言うと思った。ところで、この道いつまで続くの?」

「知らね」

「そう。…早く帰ってアンタを探さなきゃいけないのに」

「ここにいんのに?」

「…本当ね。なんでかしら…」

「ん?別れ道だな」

「あら本当。」

目の前に岐路が現れた。

「俺右行くわ」

「そう?じゃぁわたしも「ついてくんなよ。」

「なんで?」

「ついてくんな。探すな。二度と思い出すな。」

「だからなんでよ」

「クソヤロウが」

あぁ、そっかそうだった。彼はアタシと普通に喋ってくれなかったね。忘れていた。これ、夢かあ。
本物のアンタはもっと怖がりだったね。いつも、触るなとかやめてくれって泣いて。

「絶対に見つけてやるからな」

偽物の彼にそう言って左の道へ向かう。
すぐに見つけてあげる。また、一緒に暮らすために。早く見つけ出して、もし恋人なんかいるもんならソイツは殺して…。もし、親友なんていたらソイツの目の前でめちゃくちゃにしてあげたい。

「ああっ!早く会いたいなぁ!どこに隠れてるのかなぁ!」

6/8/2023, 2:37:34 PM