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「責任取れよ!」
「んぐ?」
ぐびぐび浴びるように酒を飲んでいた俺の突然の発言に枝豆を摘んでいた君は素っ頓狂な声を挙げる。
「どうしたの、急に?酔った?」
「酔ってない…」
苦し紛れの言い訳だな、と自分でも思う。だってコレは酔っぱらいがよく言う台詞だって身をもって知ってるから。
「女の子に振られたからって飲み過ぎだよ」
ケラケラ笑ってこっちの気も知らない君が憎らしく愛おしい。
最近、尽く女に振られている。こんな連続初めてだ。前なら、こんな事なかった。先週だって好みの女の子とそれなりの雰囲気になったのにいざってなったら、身体が拒否した。その後に頭に浮かんだのが君の顔。それが最近何回も続いてる。ほんとに、なんなんだ。警察官の、彼女。ストーカーに悩まされていた俺を助けてくれた。視線も、声も、態度も甘ったるしくなくて、凛々しい。
そんな君に出会ってから、上手くいかないんだ。俺が俺じゃないみたいでもやもやして、苦しくなる。
だから、俺はいつものような口説き文句じゃなくて、本心を、ありのままに告げる。もしコレが君が欲しいものでなくて、要らなかったら。それは、俺が酒に溺れたせいだって、思ってくれていいから。

5/5/2023, 12:07:27 PM