日差しのきつい、茹だるような
あの、夏の日。
蝉の声も、君の声も
混ざり合って
いくら拭っても、だらだらと伝う汗が
気持ち悪くて。
ただ、そんな状況が一変するほどに
君は真っ白な日傘を
そっと傾け、見たこともない寂しげな顔で
おれに、さよならを告げた。
彼女の吐く息は、俺の汗を冷やすほどに
冷たく。彼女の指先は氷そのものだった。
一方的な、さよならに
追いすがる間も無く…俺の目の前から
彼女は消えた。
ただ、白い日傘が
俺の目の前に、ポツリと残されたまま。
【お題:君と最後に会った日】
6/26/2024, 9:52:29 PM