ギターを抱えた猫背な背から綺麗な歌声が聴こえる。
優しくかき鳴らされるその音に酔いしれてみる。いつもはその他大勢、有象無象、全ての人へ向けられている君の音楽も今は私だけのものなのだから。
「ララ…ふふん、ふ〜、」
いつもロックな歌ばっかり歌っている癖にバラード、優しい曲調だってばっちりものにするんだからやっぱり君ってすごい。音大卒って伊達じゃないんだねとか。
「…いい曲だね、」
「…えっ!!わ、…い、いたの、?」
目が隠れるまで長くなった前髪から覗く可愛い目がぎゅっと驚いたように大きくひらいて、私を見据える。
「…いまの、もう一回、もーいっかい歌って、…私のだけのために」
「え〜?しょーがないなぁっ、」
ドヤ顔でそんなことを宣う君はやっぱり可愛い。ステージに立って命をすり減らすように歌う君も素敵だけど、飾らない日常で私のためだけにその声で歌ってくれる君が私は一等好き。
2025.2.8 ラララ
3/8/2025, 7:44:10 AM