雨の中、ひとりで傘もささずに虚ろな目で歩く。
この雨量と君の今まで流した涙の量、どちらが多いのだろうか。
今日、君は僕の目の前で飛び降りた。
理由はいじめに耐えられなかったから、ということになってるけど、ちがう。
僕が君から逃げたからだ。
君を救えなかったから。救おうともしなかったから。
ある日、僕は君に呼び出されて、ひと気のない郊外の高台の公園に呼び出された。
そこは様々な理由から生きづらさを抱えている僕らの逃避行先だ。ある日は僕が、ある日は君が泣いている方を慰める、そんな場所だった。
だからいつも通りそこに行ったんだ。そしたら君が「ねぇ、もう疲れちゃったから一緒に飛び降りようよ。」と僕に言ったんだ。
君がそんなことを言うのは初めてだったから、一瞬何を言われたのか理解できなかった。でもその日は「変なことを言っちゃってごめん、忘れていいよ」と言ってくれたから特に触れずに、そのままだべって帰ったのだった。
でも日に日に君の様子が段々とおかしくなっていって、ちょっと君のことが怖くなっちゃったんだ。前までの君は泣いて慰められて落ち着いてその日は終わり、だったのに、自分のことを傷つけたり、何を言っても落ち着かなくなってたりしていた。
次第に僕は高台の公園に行かなくなっていった。
行かなくなってから1ヶ月たった頃、ふと公園に行きたくなったので足を運んだ。
そして君がいた。
「ねぇ…なんで最近来なかったの…」
「君以外に頼れる人なんていないんだよ、私」
「怖かった」
「ねぇ…飛び降りよう?なんて聞いたから?」
「ダメなの!?生きる理由なんてないのに!!君だってそうじゃないの!?」
「君も…君も私が嫌いになっちゃったの!?」
「なんだ…私いなくても君はもう生きていけるのね。」
「……君だけが唯一の生きる理由だったのにな。」
「さようなら」
心中を提案来てきたあのころから、もう君の心は壊れてたんだろうな。でも僕はそれに気づけなかった。
君の未来が絶たれたのは全て僕の責任だ。
僕は君の呪いを抱えながら生きていくしかないのだ。
9/17/2022, 10:32:43 AM