『ないものねだり』
歳特有の苛立ちを抱え、私はドタドタと足音を立てながら扉を開ける。
「お母さん!!𓏸𓏸ちゃんはもうスマホがあるのになんで私はないの?!」
今度は帰ってきてお母さんの「おかえり」という声が聞こえると同時に叫ぶ。
「ねえお母さん!!△△ちゃんは週に2回も外食に行くのに私たちは月に2回よ?!」
「お母さん、ごめんなさい…気づけなかった。
本当に大切なのはないものじゃなくてあるものを大切にしなきゃ行けないことだって…。」
辺り一面を埋め尽くす線香と、涙の匂いの中私はもう届かない謝罪を呟いた。
3/26/2024, 6:00:40 PM