『愛があれば何でもできる?』 135
「当たり前だ。
そんなくだらない事を聞くんじゃない」
「……じゃあなに?
学校で虐められてたあの子。
パワハラで自殺をしたあの人。
強盗に殺されたあの家族。
戦争で亡くなった大勢の人……!
……みんな愛があったら救えたとでも言うの?」
「愛が足りないからそんな事になるんだ。
馬鹿馬鹿しい」
「あの子の虐めを知った親は泣いていたわ!
あの人の自殺で自分を責めた家族がいたわ!
一家が殺されて義憤に燃えた国民がいたわ!
大勢の人が亡くなって戦争を凶弾した人達が沢山いたわ……っ!
この人達が利己的な理由だけで動いたとでも?
そんな筈はない、この人達の行動は愛があってのものよ!」
「誰も愛が無かったとは言ってない、足りなかったと言ったんだ。
例えば欲しい装飾品があったとしよう。だがどれだけそれを欲しても、金が足りなければ買えないだろう?
車はどうだ?
家は?
会社は?
……金があっても少額ならば意味は無い、大きな買い物にはそれに見合った大金が必要なのだよ。
愛もそれと同じなだけだ。大きな事をなす為には、それに見合うだけの沢山の愛が必要なのだ。
……猿でも分かる当たり前の話だろう?」
「……さっきから貴方の発言には、何の愛も感じられないけれど?」
「それも当たり前だ。
虐めなんていう小さな事ですら止められない、お前達と同じ愛の乏しい人間の一人だからな」
5/16/2023, 6:43:21 PM