水月凜峯(みなつきりお)

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『星座』


むかし、むかし、世の人々は
夜空にロマンの地図を広げて
ひとつひとつの星たちに、生命を吹き込んだ

それぞれの輝きに 意味を込め
ひとりひとりに 名前といういのちが与えられた

そして、たくさんのいのちが集まって、
夜空には、宇宙の展覧会が
燦然と煌びやかに開かれ、
夜空の巨大なスクリーンに
太古のロマンが生き生きと映し出されていた。

人々は代々、その物語を 言葉や文字で後世に
語り伝えてきたのだろうか

その遺伝子が、私の中にも きっと
流れている


星の光は、はるかはるか 遠くからも
この地球に届いてくる
私が今、見つめている星たちの光の中には
すでに消滅している星も あるかもしれないらしい

なんて、ロマンなのだろう

もうこの世にはいない、存在に
光という姿で、会えてしまうなんて


星座を見つめて、語り継がれるロマン
広がる夢と現実が、溶け合っているような世界

その世界の下、星座の光に導かれて
私は平均台の時空を歩く

先は全く見えなくて、一歩先だけがやっと見えて。

勇気を出して踏み出す一歩の、
私の足先だけが闇に浮かぶ。

両手を大きく広げて、
バランスをなんとか取りながら。

落ちそうになるのを必死に堪えて。


私のいのちの名前はまだ、よくわからない

だけど、確かに 夜空には 太古の昔から
ロマンの物語が続いている

物語の主人公たちは、そっと優しく
私を見つめてくれているのだろうか


星座の光を道標に
私は 私の名前を探して歩く

両手を大きく広げて
息を深く吐き、そして ゆっくりと 息を吸う


巨大なクスリーンに
私のいのちも、いつの日か 映し出されるだろうか

ロマンの星座に なぞらえて
私は わたしのいのちを 思いっきり描いてみよう
遠い星に 光よ届けと 願いを込めて

10/6/2022, 8:32:42 AM