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まって

そう言って、あの時、自分自身を抱き締めれば良かった。

ボクはいつもそうだった。

いつもひとりぼっちだから寂しい、
泣き虫なくせに涙を堪えて、
人の頼り方も分からない、
甘え方だって知らない、
ボクは夜、ベランダから外を眺めてはいつも泣いていた。

ボクは何度も呼吸する場所に手をかけた、
ボクは何度もボーッとした、
ボクは何度も見ちゃいけない世界を見た。

そんなボクは、幸せだったのかな?

今も夜、寝れない時は外を窓から眺めては思う事。

あの時、誰かに止められたら。
あの時、誰かに助けを求めれたら。
あの時、誰かに相談していたら。

ボクは、本当のボクを認めれたのだろうか?

そう思う前に、ボクはきっと、ボクにこう言うだろう。

「まって」

それは、最悪な嫌な言葉にも、最高な救いの言葉にも聞こえる。
この言葉がある、ない、とでボクはどんな未来だったのかな?

今も夜は、朝になる為に時間が進む。
朝が来たら昼が来て、
昼が来たら夕方になって、
夕方になったら夜になる。
そうしたらまた、夜は朝になる。

ボクもそうやって、生きてきた。

不思議だなぁ。
今も泣き虫だなぁ、ボクは。

そうやって時間は過ぎていく。

時間は待ってくれない。

けど、ボクは、ボク自身は待つことはできる。

そうやって、人生はできてるんだなぁと感じる。

不思議だよねぇ。
今もボクは、この待ってくれない夜を過ごす。
終わりのある、朝を迎える為に。

5/18/2025, 11:27:58 AM