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 随分と広い国に派遣されたんだ。熱帯雨林が広がっていたかと思えば砂漠まで、同じ国の領土だとはにわかに信じがたい。熱帯のじめじめした暑さがあったかと思えばカラカラに干からびてしまいそうな暑さの中にいる。熱気で視界はゆらりと歪み蜃気楼を初めて見た。

 夕方から夜にかけて昼間の暑さ、熱波が嘘のように消え一気に冷え込み、寒々しい環境に切り替わった砂漠に驚きを隠せない。故郷の寒さに慣れていても日中は汗をかくほど暑くて、急激な気温の変化には対応しきれなかった。太陽がいかに偉大か身に沁みたよ。

 遮るものがなく澄んだ夜空は壮観だ。故郷にも負けないほど星は瞬いて素晴らしい輝きを見せている。
 辺り一面の砂、砂漠も空にも静寂が広がっている。君に見せたらさぞ驚くんだろうな。まだ調査段階のため連れていくことは叶わないけど。
 
 なるだけ思いを込めて矢をつがえ弦を引く。

 腕の筋肉が悲鳴をあげはじめ限界まで弓を引き絞って『遠くの空へ』。

 君が眺めている暗闇を切り裂くかの如く一筋の矢を放った。君がいる街に届くわけないが届きそうな気がして。きっと流れ星だ、なんて喜ぶのかな。

4/12/2023, 11:33:30 PM