「中途半端な同情なんていらない。大きなお世話。」
なんて返せばいいんだろう。黙りこくっている私に貴女は冷たい目線を向けてどこか悲しそうに顔を歪め、その場を去ってしまった。
私と彼女が出会ったのは2学期の途中ごろ。不登校だった彼女がクラスで授業を受けている姿がなんだか新鮮で、心配だった。そう、そんな頃だった。ペアを組んで実技を行う授業があったのだ。ペアがおらず右往左往する彼女の姿がいたたまれず、私は声をかけた。しかし、なんと言っても初対面だ。途端に沈黙が訪れてしまう。なんとか場を繋げようと思いつく限りの話題を振るが当然弾むわけもなく。
今思えば、こういう見え透いた同情が彼女を苦しめていたんだろう。
かわいそう、と無意識に見下していた私に、きっと彼女は気づいていた。今思えば、自分の心より他人の心を理解しようとしていた。自分のことすら理解していないのに、他人の心なんて最初から何もわかっちゃいなかった。
ああ、私は中途半端だったんだ。
劣等感を感じていること、確かにそれは私達の間での繋がりだった。でも、所詮は他人。立場も違えば感じ方も違う。そんな必要な壁を踏みにじって、同情という繋がりを求めてしまって。やっと、やっと自分の愚かさに気づいた。彼女に謝りたい。でも、彼女はもう私に背を向けた。そして、2度と目を合わせてくれることはないだろう。今無理やり振り向かせたって、また彼女を惨めにさせるだけなんだと分かる。こんなの言い訳に過ぎないが、誰も同情しようと思ってする訳じゃない。理解と理想が噛み合わず、中途半端になって同情に行き着く。混ざった色は原色に戻らない。この気持ち悪く濁った色から、目を逸らしたい。でも、きっとあの時の彼女の冷え切った目線が許さないだろう。
2/20/2024, 2:47:57 PM