恭真

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どこまでも続く青い空。
それをテーマに書く作文のような、詩のような宿題。

どこまでも、という曖昧な文脈。
青い空というそれは、地球の中での規模であって大気圏を越えた先には意味の無い色だと思う。
そう呟いた私の言葉に、盗み聞いていた人物がひとつの単語を口にした。
「ペイルブルードット。」
ボイジャー1号が撮影した写真の話だ。
大気圏を越えた先であっても、地球の海の色は数十億キロメートルを越えた場所でも小さな点として見えるのだと。
私が見上げているこの空は、遥か遠くに在る1機の人工物からしたらドット程度の大きさにしか見えないらしい。

それじゃあ、どこまでも続いて無いよ。一つの点が消えたら終わりじゃん。
なんて言葉を零してみようものなら、論点が違うとニヤついた顔で言われてしまいそうだ。
言葉に悩んでいると、先程と同じ声でもうひとつ言葉が飛んでくる。
「大気圏を出たら宇宙だろ。太陽系で考えるから頭を捻ることになるんだ。地球の中だけで考えればどこまでも続いている青い空、まぁるいからね。」
規模縮小。
先程のボイジャー1号の話は横に押しのけられた気分だ。
「君がしていたのは果てが見えないものの話だ。だから類似のものを話しただけだよ。」
果てが見えないものの話。
ボイジャー1号は今も宇宙を進み続けているから、ということか。

「…どこまでも続いて欲しいって人間の希望もありそう。」

作文用紙はまだ白紙のままだ。

10/23/2023, 3:19:58 PM