雛朶

Open App

こぼれたアイスクリーム

いつも通り朝起きて、リビングに向かおうとすると何時もならすぐ立って歩けるのに足に力がないように歩けなくて、動けなかった。
そこからお母さん、お父さん、お姉ちゃんの柚ちゃんが来て、立てない私をお父さんがおんぶをしてくれてそのまま大きい総合病院に連れていかれた。
病院で検査を受けたところ 脳血管障害 と診断された。

脳血管障害(脳卒中) とは

脳梗塞や脳出血などにより、急に手足が動かなくなることがあります。呂律が回らない、意識障害などの症状を伴うこともある病気

脳血管障害になり、私は2年間入院生活となった。
2年の間で私は全て失った気がした。
まず脳血管障害で急死する恐れがある事。
そして2年間で記憶が曖昧だったり、意識が朦朧として、まともし話せることができなくなったこと。
まともに話せないことがすごく大きかった。
高校2年生だったこともありまだ遊び盛り。
その遊び盛りの時期を入院生活で終わってしまった。

2年間の入院生活が終わりを迎え、私は家に帰ってきた。
「おぉ久しぶりの我が家」ふふっと嬉しさのあまり笑うと柚ちゃんが「笑ってないで早く入りな」と私を急かしてくる。まぁそんな所も柚ちゃんらしい笑
「ユズリハ」と書かれた部屋に入ると入院前よりは部屋がスッキリしていた。「おぉ片ずいてる。」感動して部屋を漁っていると私の入院中のノートが出てきた。
ノートには脳血管障害のことがびっしり書かれていた。
急に手足が動かなくなること。 急死する可能性がある事。そんなことがびっしり書かれていた。懐かしいなぁなんて思いながら、部屋を漁っていると友達との写真が出てきた。海に行ったり、遊園地行ったり、水族館でアイスクリーム食べたら私が落として食べられなかったなぁとか思い出を遡ると写真の上に雨がポツポツ私の目から降っていた。もっと青春したかったなぁとか色々考えて、私が病気じゃなかったらとか考えたり、沢山悩んだのを覚えてる。その日はお母さんの豪華なご飯を食べて久しぶりの部屋でぐっすり寝た。

友達が私が退院したことを知って、水族館に誘ってくれた。私を入れて3人。2年ぶりの水族館で私はテンションMAX 友達もテンションMAXでみんなでウキウキしながら魚達を見ている。イルカショーも見たし、くらげも、大きなタコだってみた。みんな最後はアイスクリーム食べようよなんて行って食べ物コーナーへ歩いていく。
うずまき型のアイスクリームを買って食べる時、私の手からアイスクリームが落ちた。友達は「えっ大丈夫!?」とか「どうしたの」とかすっごい驚いてた。
手がしびれてまともにアイスクリームなんて持てなくて、痺れが収まって来ると同時に、意識が遠のいて、倒れて行くのがわかった。周りの人が何か話しているが聞こえない。声を出したくても出せない。
「あぁこのまま死ぬのかな」って覚悟して、でも覚悟しきれなくて、そのまま意識を手放した。
次起きたのは病院のベットで友達2人ともお母さん達に囲まれて、お母さん達悲しそうな顔してて「そんな悲しい顔しないで」って言いたいけど声が出なくて、体も起こせない。あぁアイスクリーム食べたかったなぁ、前も落としちゃったから食べたかったんだけど無理だったなぁ、悔しい。お母さんに水族館の話したかったなぁみんなでイルカショー見たんだよとか言いたい。もっとみんなの隣にいたい。死にたくない。
そのまま意識がなくなって、同時に機会の音が聞こえた。あぁ死ぬんだなって思って怖さと悲しさが込み上げてきて、最後にお母さん達が手を握ってくれて温かさが感じられてもう悔いはアイスクリームぐらいかななんて思いながら私は長い眠りについた。

𝐹𝑖𝑛.


長い作品でしたが最後まで読んでいただきありがとうございます。このお話はフィクションです。実際脳血管障害で亡くなられている方がいらっしゃるかも知れませんがこのお話はフィクションであります。
この作品は私の一番感情を出して作った作品なので最後まで読んでいただけると幸いです。





8/11/2025, 3:56:04 PM