君はいつも急に姿を現す。
わたしが、うちの近くを歩いているとき、急に視界に”見慣れない何か”が飛び込んできて、びくっとしてその方向をみてみる。
10メートルくらい先のところに、一匹の猫がいた。身体は進行方向を向いているのに顔だけこちらを向けて、じっとこちらを見つめている。ここから先は、君と呼ばせてもらう。
君は、黒と白の毛並みをしていて、身体は猫の中では大きい方にみえた。
遠くて首輪も確認ができず、飼い猫か野良猫かわからなかった。君はごはんをしっかり食べれているのだろうか。
その黒い瞳と目が合うと、引き込まれるような、吸い込まれるような、そんな気がして、少し怖くなってわたしの方から目をそらしてしまう。
心臓の音が5回くらいなったころに、もう一度君の方をみてみると、まだ君はこちらをみていた。
1分にも満たない時間であったが、時間という枠をはみ出して、この見つめ合いが永遠に続いたような気がした。
気がついたら、君は走り出して、スイスイ泳ぐ魚のように、ふわふわと真っ直ぐに空に線を引くひこうき雲のように、小さな坂道を登っていく。
そして、坂を登り切ったら、振り向いてもう一度わたしと目を合わせる。
わたしは君に気がついたときからその場に突っ立っていることに気づき、君を見ながら歩を進めてみた。
すると、何歩か歩いた時に、きみは急に走り出して、わたしは君を見失ってしまう。すこし楽しかったような、哀しかったような、そんな気持ちにひたった。
君に最後にあったのはいつだろう。君は元気にしているだろうか。そんなことをふと考えていたとき、君は現れた。君はコンクリートで作られた境界線の上を悠々と歩いていた。
君はわたしに気づいていないようだったけれど、わたしはきみの元気そうな様子をみれて、とてもほっこりしてうれしい気持ちになった。
たまにでいいから、青空が見える日は、わたしのところにふらっと遊びにきてくれたらうれしいなと願う。
今日も気がついたら君を探していた。
_____________ 君を探して_______________________。
3/14/2025, 2:55:46 PM