よつは

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テラスで本を読んでいた。大きな風に髪がなびく。地元の公民館の売りは図書室。様々な人が利用するそこは子どもたちが遊ぶ声だけが響く、微笑ましい。今朝のテレビで嵐が来る…なんて予報だったから本の続きは家で読もう。今は夏休み、宿題はお昼ごはんを食べる前に済ませたのでプールにでもいこうとしたが、一雨来るのなら止めておこう。取り敢えずこの本を借りようか。
図書カードを取り出し、受付に向かう。
「すみません、貸し出しでお願いします」
受付のお姉さんに声をかけてカードを受け取る。
「じゃあ2週間の貸し出しね、って夏菜ちゃんは知ってるか。常連さんだもんね」
お姉さんは夏菜にそう言って笑って本を手渡した。
「そういえばさっき斗亜ちゃんの自転車が停まってたから工作室にいると思うわ」
「はーい」(斗亜が?自由課題でもやってるのかぁ)
工作室に向かって斗亜を驚かせてやろうと抜き足で近づく。
「お、斗亜が何か作ってる…やっぱり自由課題」
にししッと笑いながら息を殺してドアを開けると斗亜の姿が見当たらない。どこ行った?と、キョロキョロしてると背後からドーンと斗亜がぶつかった!
「夏菜!やっほ!!」「きゃっ!?」
思わず二人とも倒れて笑っていると受付のお姉さんが歩いて来た。
「二人とも、元気なのは良い事だけど、あまり騒ぎ過ぎない事!勉強してる人もいるんだから」
「はーい」
「あ、はは…ごめんごめん奈緒姉ぇ」
もう、と呆れたように見下ろす。


今日はもうすぐ雨が降るとか。嵐が来るとか。2人は自転車に乗って夏菜の家に向かった。道中雷が鳴っていたので間に合うのだろうか。

7/30/2023, 6:19:48 AM