駅前の時計を見ると午後4時を過ぎたところを指している。
さっきまで入道雲が遠くで虚勢を張っていると、そう思っていた。舐めていた。今は私が舐められているようだ。
雨は嫌いなわけじゃない。でも今日じゃない、今じゃないよ。
なかなか当たらない天気予報に苛立ちを覚えつつ、折りたたみ傘を広げる。私の心配性もたまには役立つものだ。
だだっ広い灰色は雨に濡れ、いつもより少しだけ濃い灰色だ。
私のブラウスにはぽつぽつと少し濃い緑色の水玉ができていく。左手に提げたデパコスのショッパーたちが濡れるのだけが気になる。
いつもならただ通り過ぎるファミレスの前にチョコレートパフェののぼりが立っている。今日はもう既に予算をオーバーしている。一瞬、躊躇ったが気づいた時にはもう周りが家族連れと学生たちの賑やかな声に包まれていた。
土曜日の夕方だ、おひとりさまは慎ましく端の席でスマホでもいじっておこう。
茶色いパフェの中のさくらんぼはひとりぼっちのようだ。
「私と一緒だね」と心の中で呟きながら口へ運ぶ。胃の中でチョコレートたちと混ざりあえることを願う。
外に出ると雨はもうあがっており猛暑のせいか道路の色は薄くなりはじめている。
蒸発しだした雨で蒸し暑さはぶり返しそう。
部屋の隅に少しだけ溜まった涙も乾いたころだろう。
途中コンビニで1本だけストロング缶を買って家へ帰った。
明日も猛暑の予報だから、ちょっとくらい泣いても大丈夫。
8/27/2024, 4:17:26 PM