僕にはたった一人の親友がいた。
気の置けない心の拠り所になるかけがえのない人。
でも、彼よりも僕はあの女生徒を愛していた。
そして、彼もまたその彼女を愛していた。
漫画になりやすいこの三角関係。
僕は親友を裏切るのを恐れていた。
親友も恋人も手にするなんて虫が良すぎる。
だから、僕は親友に嘘をついた。
「君が好きなあの子のタイプはユーモアのある人だ」
彼は人を楽しませる秀才だ。
それを利用した。
しかし、僕たちのアイドルの本当の好みを知らない。
それが落とし穴だった。
それを知らずに親友は告白すると心に決めてしまった
親友が立ち向かう背中を見て僕のほっぺに涙が伝う。
のちにわかったことだが、
彼女はお笑いのユーモアなど求めてなかった。
本当は音楽のセンスがある人を好んでいた。
親友は楽器を弾くのが苦手で楽譜も読めない。
僕は楽譜は読めるが楽器はあまり得意ではない。
親友は一週間、学校を休んだ。
2/10/2025, 5:44:40 AM