「ここから遠くの東の国では『あき』というものがあるらしいわ」
ぽつりと彼女が呟く。
「『あき』?」
「そう、あき。とても過ごしやすく快適な温度。何気ない木の葉っぱも綺麗な色彩を帯びて幻想的な景色になるそうよ。さらに、夜は空が澄んでいて満月がとても綺麗に見えるそうなの」
「そうか、その国では『あき』がくるのか……」
男は彼女の顔を見つめ笑いながらこう続けた。
「僕たちには似合わない言葉だね。僕は君と過ごす『あき』のない毎日の方が好きさ」
秋の似合わない二人
お題:「秋🍁」
9/27/2023, 7:43:41 AM