るに

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春らしい気候。
芽吹きのときが私は嫌いだ。
みんなに突き放されて
一人ぼっちで寂しいと思っていた。
でもそれは
自分がみんなを突き放しているだけで
本当は私と居てくれた。
後悔ばかりのこの人生。
最後に何が楽しかったか言えと言われると、
もう一度やり直したくなるかもしれない。
だって一つか二つほどしかないから。
印象に残ってるのは
星の王子さまを声に出して読んだこと。
寂しくて押し潰されそうだった夜、
ふと本棚に目をやると
星の王子さまの絵本が見えて
すぐ手に取って読んでいったんだ。
"大切なものは目に見えない"
なんて
心に染みることが書いてあると
変だなぁ文字が見えなくなってくる。
ポタポタ何か零れ落ちるんだ。
絵本も所詮紙だから、
急いで拭くんだけど。
特にこの芽吹きのときは
死んでやろうかってくらい
夜が嫌いになる。
だから読む。
声が出るってこと、
文字が読めるってこと。
それだけでもう幸せすぎるんだってことを
星の王子さまを
自分に聞かせ続ける。
"Good Midnight!"
星の王子さまも
バオバブも
キツネも
バラも
私も
空を見上げては
星の笑顔を忘れない。

3/1/2025, 1:47:55 PM