ぽつりと胸に灯る温もりを探る
夢叶えるために捨てた故郷
俯いた顔と堪えるように震える声
おずおずとゆるく包まれた指先の温もり
心の1番大切なところに収めた記憶
あれから幾度も季節は巡り、
時と共に少しずつ記憶は曖昧になってゆく
それでも忘れたくない僕は、
壊れたラジオのように何度も何度も
必死にその記憶を反芻しては、
暗く果てない道を照らす標とした
君が隣にいないこの道を
それでも歩み続けるために
『貴方ならできるよ』
『きっと大丈夫』
『……元気でね』
最後、何かを堪えるように俯きながら
細く息を吐く彼女に、手を伸ばしてしまいたかった
帰りたい
まだ帰れない
会いたい
けど、約束したから
今はまだ
帰った時、まだそこに君がいてくれるかは
分からないけれど
それでも
未だ心に灯る泣きそうな声が、
あの日指先をつつんだ温もりが、
君が灯した、僕だけの
『心の灯火』
9/2/2023, 5:21:13 PM