ォㇺㇾッ

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生まれた時は、白で無垢だったはずだ。
母親の呼び声に応えようと、形を得たはずだ。
生まれ落ちた彼女は、今、戦火の中、血だらけの死体の中から産声をあげた。
「かわいそうに」
何処からともなく現れた男は生きんとする彼女の姿に、微笑みかけるが、そのまま踵を返してしまった。
だが一層激しく泣く声に、男は興味を引いたのかそれを拾い、羽織っていた自分の白い布を巻いてやり、歩き出した。
たどり着いた場所は残骸となった教会だった。ここなら誰かが拾うだろうと思い、男は煤けた像の足元に彼女を置き、十字を切って祈りを捧げ、教会を後にした。
「君はきっといい人生を歩むよ。だって神様に愛されてるから」
そう言い残して。



【1】
睨み合う、二人の少年。
「仕合開始!」
一人の少年が飛びかかるようにして剣を縦に振るうと、もう一人の少年はそれを真正面から受け、木剣がカン!と響く。
受けた少年は素早く剣を押し返して、開いた胴に思い切り蹴りを入れた。
「いて!」
受けてしまった少年は、後ろにごろごろと転がり込みお腹を抱えて膝をつく。

1/30/2024, 9:59:45 AM