誘喜

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 傘を忘れて学校に行ったことが……10回くらいあるだろうか。帰る頃には土砂降り。服も鞄も濡れて、次の日には風邪で欠席。我ながら馬鹿馬鹿しいと思う。

 雨の中佇んでいるのは誰だろう。あ、こちらを見ている。傘も差していない。半分分けてやろうか。
 あれ、、、こちらを見ていない?見ているようで、見ていない。どこを見ている?彼は息を呑んだ。それと同時に走り出している。
 あぁ、あれは僕だ。息を切らしながら、雨をかき分けながら。僕は走る。雨の中佇むのは僕。走り出そう。彼に追いつくため、僕を超えるために。
 傘などいらない。走るなら邪魔だ。走ろう。この手を振り抜いて。

 続く(続きません)

8/27/2024, 10:13:32 AM