rororu

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『さよならを言う前に』(創作)

「またね。」
彼女はいつもと変わらず可愛い笑顔で手を振っていた。
「またね。」
僕もいつもと変わらず手を振り返した。

いつもと変わらないこの日の「またね。」が彼女と交わした最後の言葉だ。僕はさよならを言う前に彼女の前から姿を消したかった。現実から逃げ出したかった僕は彼女の虜になっていた。彼女をいいように利用している自分に気がついたとき、現実が僕に襲いかかったのだ。



そう、容量不足という現実が。

─ごめんね。君をアンストする僕を許してください。─






8/21/2024, 6:10:51 AM