椋 ーmukuー

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机に転がした氷が徐々に溶けて気が付いた頃には液体へ変化していた。そこにできた小さな水溜まりに指を突っ込んで生ぬるさだけを感じていたかった。

ヴーッヴーッと通知を鳴らし続けるスマホに嫌気がさした。だからといって10万近くしたものを投げつけるわけにもいかなかった。

夏休みも後半に入ったというのに課題が終わる気配もなくただ枕を抱いてベッドに潜り込んだ。窓から見える青空が腹立たしくて簾をゆっくりと下ろした。

将来なんてこれっぽっちも考えてなかった。なんていうのは嘘で密かに言葉を紡ぎたいと思っている自分がいた。だから趣味程度でって勝手な理由をつけてこのアプリを入れた。

お題に沿って何度も書いた。その汚い言葉が歪んで見えて何度もアプリを消した。白紙に戻したからといって上手くいくはずもないのに。

放置したお題にキーボードを打った。呆れるほど未熟な言葉と笑えるほど滑稽な文章構成。最初から諦めればいいものを、ここまでダラダラと続けてきてしまった。それなのにまだ今日も1人、言葉を紡ぎたいと思っている。

お題「言葉にならないもの」

8/14/2025, 2:25:35 AM