歩く、歩く、歩く、歩く、私はひたすらにこの暗く終わりの見えない回廊を歩いている。終わりはいつなのだろう?どれくらい歩き続けているのだろう?いや、そもそも何でこんな所に私は居るのだろうか?わからない、記憶が曖昧で自分が誰なのかすらも覚えてないない。
そんな時ふと、どこからともなく声が聞こえる「、、さん」声が途切れて聞こえ辛い。しかし、私はその声にどこか聞き覚えがあるような気がした。そして、必死に耳を澄ませてみる。すると今度はハッキリと聞こえた。「お父さん!!」その声を聞いて全てを思い出した。私は帰らないければならない。ここから出なければならない。そう思うと、必死に回廊を走った。走る、走る、走る、走る。ただひたすらに。すると、今まで薄暗かった回廊に光がさしてきた。太陽の光?いや違う。今はそんな事考えずに必死にこの光の回廊を駆け抜ける。そして、その光の中、一際光っている出口のようなものが見える。私は迷わずそこに飛び込んだ。その時、私の意識は途切れた。
天井の蛍光灯に眩しさを感じつつ再び目を開ける。ピッピッピッ、一定のリズムで何か機械の音が聞こえる。ここはどこだろう?さっきまで変な所にいた気がするがあまり思い出せない。そんな事を考えていると、隣から大きな声が聞こえてきた。「お父さん!!目覚ました!!良かった、、、」涙を流して、安堵した表情の娘がそこに居た。そうか、私は帰って来れたんだな。「ただいま」そう一言、私が言うと、「遅いよ、バカ、、」と柔らかな表情で答えてくれた。
どうやら、私は娘の三者面談での帰り道に飲酒運転の車が歩道に突っ込んできたらしい。その時、咄嗟に娘を庇ったということ。幸い命に別条はなかったが、なぜか1週間ほど目を覚さなかった。事情を説明してくれた娘に「心配かけたな」と謝る。すると、「バカなんで謝るのよ、意識が戻って本当に良かった」と再び泣きそうな声が返ってくる。
今となっては、あの夢が何だったのか分からない。でも、娘に再び会えて良かったと、心から思っている。
12/22/2025, 12:38:07 PM