男が話しかけてきた。
彼女とどこで会える?
彼女を見かけた場所へ何度も足を運んだのにあれ以来会えないんだ。
花を添えて一緒に贈っても問題ないだろうか…?
彼女、彼女、彼女…
矢継ぎ早に質問され当たり障りのない程度に答えていった。
そうか、そうか。と男は興奮気味に頭の中に書き留めているようだった。
「もっと彼女について聞きたい?」
「…なんだって?」
「ここでは話せないような事、とか。」
そう言うと男は身を乗り出して赤べこのように首を縦にふる。それほど彼女に魅入っていた。
「決まりだね。あっちで話そうじゃないか」
路地裏に男を案内する。見聞きされないうってつけの場所。わざわざ気味の悪い場所に来るやつなんて物好きはそうそういないからね。
移動した先で男は俺が口を開くのを今か今かと待っている。
「1つくらい質問をしてもいいかな」
「答えられることなら」
「気になっていたんだけど君、…どこで彼女の事を知ったんだい?大事に隠してたはずなんだけど」
「…え?」
「覗いちゃったんだ?」
この後何があったかなんて『どこにも書けないこと』だった。
2/7/2023, 11:55:42 PM