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お題:誇らしさ
 私は落ちこぼれの悪魔だ。
悪魔は人間を悪い道へ誘うための存在、でも私は未だに人間を堕落させて居ない。
 なぜなら私は悪魔になる前の前世があった。
私の前世は地球という星の日本という国で仏教徒をやっていた。
前世の知識でいえば転生ものというジャンルになる。
どうやら前世の私は不安や悩み、仏様の力を借りて救済されていた存在だった。
 そんな存在が転生した途端に堕落させる側になった。
転生したことに気づいた瞬間、頭を抱えた自分は悪くないはずだ、前世は熱心な仏教徒だったというのに今世は悪魔、この世界にいない神様に向かって罵倒したとしても少しは許されると思う。
 とりあえず思い出したからには人を堕落させるの諦め、この世界で仏様について布教しようと考えた。
生まれ変わった世界は、前世近い世界のようなので人間がたくさんいる。
 (私は悪魔だ、おそらくこの世界の人間より長く生きられるだろう布教のチャンスは多いハズ)
 この悪魔前世は熱心な仏教徒だった、困っている人間がいれば助けながら旅をし、ついでにちゃっかり布教活動や説法をしていた。

 そんな生活を何年、何十年、しながら旅をしていた。
気づけばこの世界に仏教という概念が根付いていき、
ちゃっかり寺などもこの世界に建てまくっていた。
そして悪魔は気づけば祀られていた。
 悪魔は気づけば悪魔ではなくなっていた、本人の意図したことではないが、割と大雑把な性格だったので気づいてもいなかった。

悪魔だったものは今日も寺に来る信者を見ては、
「やはりお釈迦様達は偉大な方だったのだ」
と前世のお釈迦様達のことを思い、誇らしさで胸がいっぱいになった。
これからも彼の仏教を布教する日々は続くのだろう。

8/16/2023, 11:03:30 AM