「大切なものを絵に書きましょう。期限は3週間後です。皆さん、課題はしっかり提出してくださいね。成績に関わりますから」
選択科目である美術の時間では、課題が渡された。大切なものと言われても、特に浮かばない。強いて言うなら本のカバーぐらいだろうか。
「ね、秀。何にする?」
横から声が聞こえた。出たなジャジャ馬娘。相変わらず耳がキンキンするほどうるさい。
「本のカバーにするつもりだが」
「本のカバー!盲点!」
休み時間でテンションが上がっているのか、僕の周りをぐるぐる回っている。やかましいぞ。
「そういうお前は何にするんだ?」
「私?私はね〜…クマの人形とか?ほら、秀がクレンゲームで取ってくれたあれ!」
茶色くて無駄にふわふわしてるクマのぬいぐるみ。あれのことか。というかまだ持っていたのか。
「ぬいぐるみか。無難でいいな」
「ふふん。私なりにちゃんと考えたからね。」
「珍しいな。明日は槍が降ってくるんじゃないか?」
「酷!?」
そんなこんなで休み時間が終わった。授業中、ずっと考えていた。大切なもの、とは。
茶色の髪に目は黒色の、うるさくて耳がキンキンする声を持ってる…
ぼん、と顔が赤くなった。
「大丈夫か?顔が赤いぞ。熱か?」
と心配されたがこれは違う。自発的に、無意識的に出たものだ。矛盾しているがな
僕が考えている間、授業は容赦なく進んでいく。後に必死でノートを書くことになったのはまた別の話だが。
お題『大切なもの』
4/2/2026, 2:28:10 PM