幼い頃、父親を亡くした。当時母親は悲しませないためか、子供を喜ばすためか、お父さんは星になったんだと教えてくれた。大人になった今でも、その記憶が鮮明に残っている。
当時、母の教えをもろに受けていた私は、当然父親が星になったと純粋に思い込み、毎晩星に話しかけていた。
「お父さん、今日は--」
大好きな父親と話している気分になれたのだ。
そして社会人になると、終電を逃す一歩手前まで仕事をする日々。当然父親のことなど、頭から抜けてしまっていた。久しぶりの休日に、星を見つめていると、突然幼い頃に、父親に話しかけていたことを、ふと思い出したのだ。
「お父さんも、仕事大変だったのかな、」
一度星に話してみると、
なんとなく、気が楽になった気がした。
3/11/2025, 2:57:25 PM