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麦わら帽子は、冒険の象徴だ。
青い空、青い海、白い雲。
僕らが目指す地平は、見渡す限り緩く円を描いた。
この地球が平面ではないと発見したピュタゴラスは、この世界の果てに宝物を置いてきたとか、言ったかもしれない。
それはさておき、僕はかたわらにおいてあった、カフェラテについた、汗を拭った。
同時に、反対側に座った彼女も、額の汗を拭った。
冷たいスタバの店内。
駅ナカの三階の映画館で、冒険漫画のフィルム版を見てきた僕たち。
「やっぱり面白かった。来てよかったね」
と、言った彼女の顔を僕は見ながら、一番好きなのが、主人公だったので、今回の活躍に
「満足いく出来だった」
と、頬杖をついた。
主人公は、いつにも増してひ弱で、カッコ悪く、でものたうち回って敵を倒す。
それが、苦しみを産む。
「それで、仲間たちが、彼を助ける。それが、カタルシスを産む」
そんなことを語っていると、
「でも、得られないものは無いって、内容だったじゃない?」
と、彼女は会話を続ける。
「そうだけど、さ……」
彼女は知っている。そろそろ、僕たちは卒業しなきゃいけないよねって。
たまに呟くその言葉を、僕は延期して延期し続けてここにいる。
でも、きっと、それはいつか訪れるのだ。僕は知っている。

8/11/2023, 10:18:32 AM