長男が作ったワラの家も,次男が作った木の家も,オオカミによって吹き飛ばされてしまった。2匹の子ブタは,自分たちが馬鹿にしていた,末の弟が作ったレンガの家は,オオカミがどんなに頑張っても,びくともしなかった。そして,夜になった。屋根の上で何者かが動き回っているようだ。末の弟の子ブタが,暖炉の火をおこし,大きな鍋をかけ,油を,ぐつぐつと煮込みはじめた。3匹は,息をひそめて待った。何者かが,勢いよくエントツを通って降りてくる。直後,悲鳴に絶望が重なったような叫び声が,レンガの家の中に響き渡った。 「熱い,熱い,助けてくれ!」赤い服を着て,白いヒゲをたくわえた,その老人は,荷物のたくさん入った大きな袋を置いたまま,家の外に飛び出して行った。その後3年間,世界の子ども達にクリスマスプレゼントが届くことはなかったという。そしてサンタクロースが,エントツを,くぐることもなくなり,全世界から,エントツつきの家は姿を,消していくことになるのだが,それはまた,別のお話である。
4/17/2023, 10:13:21 AM