未知亜

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ㅤ頬にポツリと水滴を感じ、僕は時刻を確かめる。今朝の天気予報では、昼から降り出すと言っていたのに、時計の針は四時を過ぎたところだった。
「予想より、ずいぶん持ったなあ」
ㅤ思ったことが声に出て、ようやくその場から歩き出せた。一歩一歩遠ざかる。じゃあねと言って君が背を向けた場所。今日以降はきっと、近づけなくなる場所。
ㅤ君は言葉少なで、しきりに空を気にしていた。隣を歩く僕は過去なのだと、言われているみたいだった。灰色の混じった白い雲に向かって小さくなっていった君。
ㅤ降る雨はいつか止むけど、僕の空が晴れることはない。共に過ごした僅かな空の眩しさを、心の奥にそっと包み込んで。もう二度とこの想いがひらいてしまわないように僕は願った。


『そっと包み込んで』

5/24/2025, 7:12:43 AM