うも

Open App

「紅の記憶」


景色が流れていく。

2人がけの向き合う形のソファーに座り、線路の上を
滑りながら移り変わる景色を眺めた。

バイトの帰り道。
いつもなら直帰するがなんとなく家に帰りたくなくて
どこか違うところへ行ってみようかと考える。

最寄り駅で降りるのをやめてみた。


最寄りをふたつ過ぎたところで、向かいのソファーに
親子が座った。

5歳くらいの男の子と、母親であろう女性だった。

真向かいに座った男の子はもみじの葉を手に持ち、茎の部分をくるくる回していた。

さっき拾ったのかな。
たしかにもみじ生えていたなと思い出しながら、男の子のさじ加減で不安定に回るもみじを見ていた。

どんどんふにゃふにゃになっていくもみじの葉から、
何故か目が離せなかった。


私も、もみじの葉拾って帰ろう。

そう思った。

11/22/2025, 12:58:36 PM