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『イブの夜』

雪の花が視界に舞って、クリスマスイブの夜を白く染め上げる。
吐く息すらも柔らかに凍って、それでも隣で笑う君のおかげで体温は燃えそうなほどに熱い。
今にも触れ合いそうな手だって、君との体温を共有していた。
「綺麗だね」
「そうだね」
眩いほどのイルミネーションと紅く染まった君の頬だけが、やけに瞳を占領する。
不意に交わった視線が鼓動を高鳴らせた。
その胸のときめきのまま君の名を呼ぶ。
君の唇がどうしたの、なんて形作った。
「好きだよ」
君の瞳が大きく開かれる。
唇が戦慄いて、君の動揺を如実に伝えた。
触れれば切れてしまいそうなほどの緊張に包まれた空気が、君の言葉で揺れる。
「私も好きです」
心に火が灯ったような気がした。
君の瞳が僕を射貫く。
二人の手が触れるまで、その目をそらすことはなかった。

12/24/2024, 10:13:26 AM