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 一部欠けている私のマグカップ。今は余りのペン立てになっている。それを見て母は言った。
「そのコップ捨てたら?また必要になったら百円均一で似たような代わりの物買えるでしょ」
 私はこう返した。
「このマグカップは私が高校を転校する時に、友だちがお別れ会でプレゼントしてくれたものなんだよね。ほら、私の名前のイニシャルが入ってるものをわざわざ選んでくれてる」
「……それは捨てづらいね」
「うん、俗に言う思い出の品です」
 他人から見たらガラクタでも、その人によっては替えの利かない宝物だってこと、あるよね。

6/16/2025, 5:12:55 AM