「贈り物の中身」
シンプルな水色染められ、真っ赤なリボンが飾られた小さな箱。
今まで贈り物とは無縁の生活をしてきた私には、とても眩しく輝いて見えた。開けてしまうのが、もったいなく感じるくらいに。
「開けないの?」
ずっと箱を眺める私に、君が笑いながら尋ねる。
「こんなに綺麗な箱、開けてしまうのはもったいなくて……。ほんとにこれ、もらってもいいの?」
もらったことは嬉しいが、こんなに素敵なものをもらってしまうと私なんかが本当にもらってしまっていいのかと不安になる。
「もちろん。君のために用意したんだから。それに、本当の贈り物は箱の中身の方だからね。」
君の言葉に頷き、私はそっと箱を自分の方へと引き寄せた。そっとリボンの端を掴み、ゆっくりと解いていった。
飾られた綺麗な箱も、その中身ももちろん大切で嬉しいものだった。でも何より、嬉しかったことは、こんな私に贈り物をしてくれる人がいること、それが君だったこと。きっと私はこの瞬間を一生忘れないだろう。
そして今度は、私が君に贈り物をするのだ。
12/2/2025, 1:47:00 PM