「雪の静寂」
雪が降る様子を最初にしんしんと例えた人はどんな人だろう。
なんとなく貴族な気がする。
平民は雪が降っていたら雪が降った影響を考えるだろうから。畑がびちゃびちゃになっちまうとか。
やはり冬の景色を静かに眺める余裕があって感性のアンテナが高い貴族なのかもしれない。
じゃあしんしんという言葉も使いたくねえな。
ビールの缶をぐしゃりと片手で潰して俺は布団に寝っ転がった。
カーテンもかかっていない窓から埃みたいな雪がちらついて、フケでいじめられた学生時代を思い出した。
ぜーんぶクソだ。俺より恵まれているやつみんな消えればいい。雪が降る様子がしんしんとか趣深いとかどうでもいい。そんなことよりこの頭のムシャクシャを晴らす方法を教えろよ。
窓を思いっきり開けて腹の底から叫びたい。
もっと雪が降ればいいのに。そうすれば俺の声もムシャクシャも吸い込んで静かにしてくれるだろうに。
12/17/2025, 11:46:49 AM