#8 幸せとは
幸せ、ってなんだろう。
お金があること?
大好きな人の隣にいられること?
友達がたくさんいること?
それとも、生きていること?
ベッドの中で考える。
今、私は幸せなんだろうか。と。
答えなんか出なくて、いつのまにか寝落ちする。
日課といってもいい。
閉じた瞼の外が眩しく感じて、目を覚ました。
スマホの表示を見れば、12:27
アラーム、かけ忘れたのか。
のそり、と身体を起こす。
よく寝れた、ってことにしよう。
誰もいないのに、一人で言い訳なんて考えてみる。
眠気覚ましに自販機行こうかな、と思い立って、洗面所で寝癖だけ直した。
冬の澄んだ空気が頬を撫でる。
「寒。」
あまりにも冷たくて、口をついて出た。
日が出てるからそんなに寒くないと思ったのに、と部屋着のまま出てきたのを後悔する。
家から一番近い公園に向かって歩き出した。
霜が溶けたのか、道路は黒く色が変わっていて、少し興ざめした。
公園に着く。
遊具で遊ぶ子どもたち、その傍ら、世間話で盛り上がるお母さんたち。
どちらも楽しそうに笑っている。
でもきっと、理由は全然違う。
子どもたちは、遊具が楽しい、とか、友達と遊べて嬉しい、とか、そんな気持ち。
お母さんたちは、スーパーでお肉が安かった、とか、旦那が全然家事しない、とか、そんな話で盛り上がってる。
私も、いつかあぁなるのかな。
そう思いながら、自販機の前で立ち止まった。
あったか〜い。
その下のボタンを人差し指で押す。
ピピピピ、ピ!
自販機のルーレット。
3334
あぁ、ハズレか。
少し残念に思いながら、出てきた缶に手を伸ばした。
「熱っ。」
なんで、ホット缶なんかにしたんだろ。
いつもこうなるのに。
服の袖で缶を挟む。
プルタブに爪をかけて開けようとしたが、手がかじかんでなかなかうまくいかなかった。
めんどくさくなってポケットにしまう。
公園ですることもないから、そのまま家へ引き返した。
玄関を開けてほっとする。
やっぱり、家が一番だ。
そう思いながらポケットから缶コーヒーを取り出す。
「うわ、もうぬるいじゃん。」
あったかいの飲みたくて買いに行ったのに、意味ないじゃん。
そう思うとなんだか面白くなってきて、ぷっと、吹き出した。
靴を脱いで、リビングへ。
そして、暖かいこたつで生ぬるい缶コーヒーを堪能した。
これが、幸せ、なのかな。
1/4/2026, 2:31:13 PM