SAKU

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傷つけばいいのになぁと形の良い頭を見下ろした。
喫茶店の中、チーズケーキと紅茶を、いつものように目の前に並べて、やや猫背気味になりながらたまにゆらりとフォークを動かしていた。
時間帯が混み合うものではないので目の前に断らずに座ると、目線だけはよこしてきたが咎めはなかった。断りを入れると、返事をしなくてはという焦りを覚えるらしいので、内心ほっとしていそうだ。
最近気づいたが、可哀想なほど他人の目を気にしているのはその容姿のせいだろうか。それとも育ってきた環境か。どちらもあり得そうに思えてかぶりを振る。
自分用に持ってきたコーヒーをひとくち飲んで、肘をつく。
意外だったのか二度瞬きをした。
ほら、そんなに自分のことをわかってくれるのに。他の人には緊張する癖、自分が相席するのをなんとも思っていない。
許された距離が嬉しくて、馴染んだ気配が悔しい。
少しは意識してくれてもいいんじゃないかと言えば、めをまぁるくした。
その白い頬に僅かにさした紅に、今のところは満足したとしておこう。

7/14/2024, 8:52:40 AM