令和7年4月27日
お題 「ふとした瞬間」
ふとした瞬間に 視線がぶつかる
幸せのときめき 覚えているでしょ
パステルカラーの季節に恋した
あの日のように 輝いてる あなたでいてね
負けないで もう少し
最後まで走り抜けて…
昭和平成歌謡メロディー 「負けないで」
作詞 坂井泉水
なに、昨日からこれしかないやん藁藁
はい、続けます
負けないでもう少し
ゴールデンウィークは近づいている〜♪
「まだ見ぬ、波濤」 作 碧海 曽良
その日は、朝から冷たい雨が降っていた。
11月半ばの雨は氷のように冷たかった。
海内の元彼女だと名乗る二十代後半の女性が、ふいに店に訪れた、黒いスーツにショートカットがよく似合う如何にも出版社勤めのキャリア風の彼女だった。こっちだって負けてないわと背筋を伸ばし腹に力を入れた之子、「お話出来ないかしら」と言う彼女に、「今、仕事中ですから」と退店願った、彼女は店が終わるのを待っていた。
二人で、喫茶店に入ったのは午後8時近かった深夜迄やっている夜はお酒も飲める喫茶店。
向かい合せて座ったが、会話はない、「ビールでも」と勧められたが、飲む気にはなれずコーヒーを注文した「同じものを」と彼女は言った。沈黙はどれくらい続いたか、Winkの「悲しい熱帯魚」一曲分くらいの沈黙の後に「別れてくれない彼と」と彼女からで、山口百恵だと「そんなことは出来ないわ」と返すところだろと一瞬頭を過ぎる之子ではあるが、この時は「そんなことは出来なくもない」と内心呟きさっきまで店内に流れていた「悲しい熱帯魚」がリフレインされた。
Stop 星屑で髪を飾り
No-Stop 優しい瞳を待つわ…
あなたは来ない
私のおもいをジョークにしないでぇ♪
いや、ジョークにしてるのは私か?とも思いながら、少し間を置き「彼はこのこと知ってますか?」そう言って、店の電話を取り海内に電話しようとした時、彼が来た…。示し合わせていたのかどうか、海内は慌てた風もなく項垂れるように席についた。その姿を目にした時之子の中で何かが弾けた。話し出そうとする海内を遮るように之子は言った
「今なら大丈夫、嫌いになりたくないから何もいらない、、バイバイ」
そう言って、之子は伝票を握り席を立とうとした、その伝票を海内は押さえた。之子は何も言わずにそのまま店を出た。
カランカランと店のドアが鳴ったが続く音は無かった。之子は深呼吸をひとつして振り返らずに店に背を向け雨の中を歩き始めた。
雨脚は強さを増していた。
つづく
4/27/2025, 10:11:14 AM