Ryu

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恋をすると生きるのが楽しくなる。
そして時には生きるのが辛くなる。
そのために他人に危害を加える人もいるし、
自分の命を絶ってしまう人だっている。
恋なんてしなけりゃのんびり生きられるのにな、そう思っても人は恋をする。

不意に人を好きになってしまうんだから仕方がない。
あの人が自分の隣で微笑んでくれて、個人的な話や悩み事なんかも相談してくれて、好きだよって言ってくれて、体を寄せ合って唇で触れ合って、その先を想像なんかしたらもういても立ってもいられない。

バカみたいだね。
発情期の猫と一緒。
もうそれしか考えられなくなって、猪突猛進の日々。
後から考えれば赤面するしかない黒歴史にもなり得るが、その時の自分はそんな未来を微塵たりとも思い描かない。

しゃーないね。男も女も、そーなるように出来ている。
そんな黒歴史を美化するために、数多ある恋物語が作られるんだと思う。
恋に恋い焦がれるようなストーリー。
そんな訳あるかい!とツッコミを入れたくなるようなストーリー。
そんなもんで溢れ返る世界。お金がどんどん流れてゆく。

バレンタインやクリスマスは、格好の稼ぎ場。
少なくとも、我々日本人には単なる平日でしかないはずの一日が、何か特別なものであるかように思い込まされる。
昔、クリスマスの夜に友達と街を歩いていたら、彼が目の前にあるホテルを見上げながら言った。
「なんか、建物全体が揺れてるように見える」

何も悪いことじゃない。
愛で遊ぶのはどーかと思うけど、人は、いや生き物はそーやって命を繋げてきたんじゃないだろうか。
だから、本来の恋物語は、決して二人だけの世界ではなく、そこから広がっていく人間の繋がりを描くべきなんじゃないかと思う。

赤面するような黒歴史はたくさんあるけど、そのおかげで今があるんだろうな。
猪突猛進の日々が、少しでも未来への存続に貢献してるなら、まあ、人間として生き物としての本懐には違いない。
人に話せるような美しい恋物語はなくとも、ここまで積み上げてきた人生の物語は、胸を張って話せる自分でありたい。

5/19/2024, 3:47:00 AM