吸った煙草の煙が晴天の空に消える。
吐き出す煙が1度として同じ形をとることは無い
吐き出された煙がそこにい続けることは無い
そんな事を思いながら、タバコの灰を落とす。
燃え尽き灰となった所が灰皿の中にぼとりと落ちる。
途方もない喪失感を煙草で誤魔化す。
1週間前に親友が自殺した。
自殺する2日前にあった時は、元気だったしいつもの様に笑ってた。
そんな彼が、ビルから飛び降りたのだ。
勤めていた会社の屋上から飛び降りたらしい。
屋上には、彼の靴と遺書が残されており自殺したのは間違えようのない事だった。
葬儀は淡々と進んだ。
僕は涙とを流すことも、悲しみに押しつぶされるようなこともなかった。
ぽっかりと心の臓を抉られ風穴が空いたみな感覚がいつまで経っても消えることは無かった。
最後に会った時の会話がふと蘇る。
「なぁ、知ってるか?焚き火の揺らめきと波の満ち引きは永遠と見てられるんだってよ。同じ形が1度としてないかららしい。
でもさ、同じ形が1度もないって言うなら空も人は永遠とみ続けられるよな!」
「たしかに、僕が煙草の煙を好きなの理由はそれかもしれないね」
「海も川もキャンプもしたからさ、今度は山登り行こ。
谷川岳辺りにしよう。あそこの空が好きなんだ」
「あぁ、道具を買って準備しておくよ。再来週にいこう。」
気持ちに一段落が着いた、風の強い晴れたある日。
彼と約束した山に行くことにした。
山頂でみた空が心の虚空を少しだけ埋めてくれた気がした。
「君が好きな空は、こんなにも移ろいやすく綺麗なんだね」
『空模様』
8/20/2024, 4:11:57 PM