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「私には、赤い糸が見えるんだよ」
始めは嘘かと思った友人の言葉だ。

しかし、友人の『恋予報』は嘘ほど当たった。
「隣のクラスのB子とC郎は両片思いだから、付き合うのは時間の問題かな」
「A奈、二股してるね」
「D介とE美はお互いちょっと冷めてきてる。もうすぐ別れそう」
ここまでくると、信じざるをえないじゃないか。

そんなある日のことだった。
私の薬指をまじまじと見ながら、友人は切り出した。
「……もしかして、恋してる?」
え?私が?
思わず私も自身の薬指を見るが、当然そこには何もない。そして、好きな人の心あたりもない。何かの間違いでは?
「……いや、見えてるから……」
「誰!!?」
思わず声が大きくなる。仕方ないだろう、無意識下の恋とか怖すぎないか。
しかしとうの友人はだんまりだ。同じ質問を重ねるも、俯いたままでいる。暑いのか、その首筋はひどく赤かった。
「今はまだ、言えない」
急に友人が切り出した。
「あなたが自覚してからね」
そう言い残すと、私が止める間もなくスタスタと歩いていってしまう。
ちょっと待て、まだ話は終わっていないぞ。
取り残された私は、思わず空を仰いだ。

そこで今日は5月の、太陽が隠れた曇り空だということに気がついた。

6/30/2024, 12:14:13 PM