NoName

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 高く、高く。
 ふわふわと、プカプカと、まるで天に昇る風船みたいに。

 何処までも浮いてしまいそうなほど、地に足をつけている感覚が無い。
 私を地上に引き留めてくれる命綱が、何処にも存在していない。
 手を伸ばしても、誰も私の手を掴んではくれない。
 ずっと、自らの足で地を踏み締める人たちと同じようには歩けないの。


 高く、高く。浮いて、浮いて。
 いつか惨めに地に墜つその時まで、私は独り昇り続けるのだろう。

10/14/2024, 8:14:58 PM