『月夜』
「今夜は月が綺麗だね」
帰り道、手を繋ぎながら歩く僕たちの目の前には
大きな満月が黄金色に輝いていた。
「わぁ〜!本当だぁ〜!」
彼女は目を輝かせながら、こんなに綺麗なんだから写真に残さないのは勿体ないと
はしゃいだ様子で鞄からスマホを取り出した。
立ち止まってニコニコと燦然と輝く月にカメラを向ける
シャッターを切る
気に入らなかったのか不満そうに首を傾げる
ズームをしたり角度を少し変えたりと真剣な顔で試行錯誤する
コロコロと表情が変わる彼女。
僕は月なんかよりも、そんな天真爛漫な君に釘付けだった。
「やっぱりダメだ〜。肉眼だとこんなに綺麗なのになぁ…。」
しょんぼり顔の彼女だったが、何かを思い出したようにパッと笑顔になる。
「夜の月も綺麗だけど昼間の白い月もとっても素敵なんだよ~!
この間、お散歩してたときに何気なく空を見上げたら雲一つない青空に
白い月がよく映えてて見惚れちゃったの~!」
僕は嬉しそうに話してくれる君に見惚れてしまっているよ。
そんなこと言えないけど…。
「じゃあ今度は白い月も一緒に見ようか」
「やったぁ〜!お弁当持ってピクニックしながら眺めようね!」
楽しみだねとご機嫌な彼女。
僕も楽しみだよ、
綺麗だねと嬉しそうに笑う堪らなく愛おしい君の姿を見られるのが。
3/7/2026, 3:33:35 PM